黒部ルート インクライン

関西電力株式会社

富山県黒部市



区間 インクライン上部−インクライン下部
距離(勾配長 m) 815
高低差(m) 456
標高(m) 上部
下部
 1325
  869
勾配 34度(67.4%)
着工 昭32年 8月
運転開始 昭34年 11月
運転速度(時速キロ) 2.4 分速約40m
所要時間(分) 20
最大積載能力(t) 25
鋼索直径(mm) 56
現地の表示により
勾配の% と 時速は 表示値より計算
全線トンネル内
黒四発電所建設の資材輸送に触れる

      

黒部ルート

関西電力が黒部奥山において電気事業運営のための資機材などを運搬する輸送設備で、欅平〜黒部ダム間(約18km)のことをいう。
 黒部ルート見学のしおりより引用

 2015年8月に、「黒部峡谷パノラマ展望ツアー」に参加し、関西電力黒部専用鉄道の一部に乗車したが、やはりインクラインに乗りたいため「黒部ルート見学会」に申し込むこととしました。
 
 欅平はトロッコ電車で有名な黒部峡谷鉄道の終点であり、ここに訪れても上級登山者でない限り観光客は周辺を散策した後、宇奈月へと引き返すこととなる。また、黒部ダムを訪れた場合には長野県の扇沢か富山県の立山のどちらかへと立山黒部アルペンルートを進むこととなる。通常行き来できない欅平と黒部ダムを結んでいるのがこの「黒部ルート」である。

 関西電力が主催し富山県が協賛する「黒部ルート見学会」ですが、抽選により当選しなければ参加することができない。なお、この見学会は欅平出発と黒部ダム出発がある。応募状況を富山県のホームページで確認したところ、欅平出発より黒部ダム出発の方が倍率が低い傾向があるため黒部ダム出発を考え、加えて6月の黒部ダムの放水前が特に低倍率だったため、その時期を申し込むこととしました。

 当選すれば、黒部トンネルから黒部川第四発電所を見学して、関西電力黒部専用鉄道に乗車し欅平までのコースを通行することができる。今般、倍率が低いこともあり、数日後には当選の通知と参加書類が送られてきた。


旅程
6月22日(水) 八王子 13:31発 スーパーあずさ 松本着  大糸線で穂高 
   レンタサイクルで大王わさび農場へ  大糸線で信濃大町
 タクシーで黒部観光ホテルへ  宿泊
6月23日(木) 大町温泉郷 バス  扇沢駅前  関西電力 トロリーバス  黒部ダム駅 
   黒部ルート(インクライン他)  欅平
欅平  黒部峡谷鉄道 宇奈月  宇奈月温泉 富山地方鉄道  新黒部
  黒部宇奈月温泉 17:26 北陸新幹線 はくたか   上野  
 
**2016年6月23日(水)**  雨のち曇り

 宿をチェックアウトし、大町温泉郷より扇沢駅までバスで向かう。外はあいにくの雨であるが梅雨時期を選んだので覚悟のうえである。
扇沢駅から黒部ダム駅へは関西電力のトロリーバスで移動し、いよいよ黒部ルート見学会の始まりである。 

 
見学場所 関電
トロリーバス
黒部ダム駅
黒部
トンネル内
専用バス
インクライン 黒部川第四
発電所
上部専用
鉄道
竪抗
エレベーター 
 工事用
トロッコ電車
欅平駅
 距離(キロ)    10.3  815m   6.5 200m  500m   
所要時間(分) 10:30集合 40  20 70 32  2  3 14:10到着 
 
 受付及び荷物検査を終え、ヘルメットを被り、黒部トンネル内専用バスに乗車する。このバスでインクライン上部駅へと向かう。
 黒部トンネル内は、約1キロメートル毎に12箇所の退避所が設けてあり、バスの車内にも火災避難用防煙マスクが用意されている。途中、タル沢横坑退避所で下車し横坑出口へと歩く。残念ながら外は雨、ガスがかかり景色は望めなかった。天気が良ければ絶景ということであるがいたし方ない。その後バスに戻り、インクラインのりばのある作廊へと向かった。

 作廊へ到着しインクラインへと乗車する。車内にB車と荻浦工業株式会社と記され、インクライン設備概要図と台車断面図も掲示されていた。なお座席はというと、向かい会っているロングシートが2組設置されており、通常のケーブルカーと違い階段状の通路は無く床は段差の無いつくりであった。

 皆着席したが、発車までは少し時間があったので外へ出て何枚か写真を撮った出発時刻が近づきり最後に私が着席するとぴったり満席であった。なお、我々は、人員ケージに乗車しているが、資材運搬の際は必要に応じて撤去するとのことである。
 
定刻の11時40分になりインクラインは34度の急勾配をゆっくりと進み始めた。これから456メートル下ることとなります。真っ暗な地中を進むため青函トンネル記念館とイメージがだぶります。
 車内で非常時の避難、インクラインの概要等の説明があり、その後、車内のモニターで紅白歌合戦での中島みゆきの地上の星の熱唱を見ました。案内の方からは、歌った場所は上部軌道内であくまでも生中継(歌詞を間違えた箇所がある)であったとの説明がありました。一部に録画では?との疑いがあるようです。
 インクラインは途中、中交換箇所でA車両とすれ違い、定刻の12時に下部に到着し20分の乗車を終えました。

 インクライン下車後、掲示されている時刻表を見るとこの便は定期運行であり、1日8便定期運行されているようです。ここから黒部川第四発電所はすぐです。見学及び会議室で昼食を取った(持参)後、上部専用鉄道に乗車するため黒部川第四発電所前駅へと移動しました。

 上部専用鉄道は仙人谷ダムの建設資材輸送路として、欅平上部から仙人谷ダムまでが敷設され、その後黒部川第四発電所前まで延長された。車両は黒部峡谷鉄道と似ているが車内は狭い。13時10分に黒部川第四発電所前駅を発車し、中島みゆきが紅白歌合戦で地上の星を歌った所を通り過ぎ、30分程乗車し、一旦、仙人谷で下車する。天気も回復してきており、くっきりと仙人谷ダムを眺めることができた。再びトロッコは欅平上部へと進んで行くが、車内が少し暑くなり硫黄の匂いも漂ってくる。。阿曽原までの区間は高熱区域であり、この区間は高熱隧道と名付けられている。掘削当時は岩盤温度が160度に達し、現在でもトンネル内は40度前後となっているとのこと。従ってこの鉄道は蓄電池式バッテリー駆動車と耐熱式客車を使用している。13時42分に欅平上部へ到着。ここからは、昨年パノラマ展望ツアーで乗車した行程となる。一旦、上部トンネル出口広場へ出て、再び戻り、竪抗エレベータで欅平下部へと200メートル下がります。
 そこからは、下部軌道に乗車し、欅平駅へと到着し、黒部ルートの体験は終了となりました。

参加者章

このページの写真  2016.7.23
台車(緑色)により、人員ケージ(ピンク)が水平となっているため、通常のケーブルカーとは異なり、車内は階段状ではない。


 
インクラインのりばへの案内表示

インクライン上部駅
 標高1325m

 滑車
 インクライン上部にクレーンが

 乗務員ケージ上
車体 人員ケージ

 前方
 荻浦工業  車内

 交差箇所

 すれ違い
  すれ違い

 車内のモニターで
中島みゆきの「地上の星」を紹介

 インクライン下部駅

下部より 
 上部ゆき時刻表 発電所はすぐ